2024年「革命66周年の年」3月18日にガイアナのジョージタウンで開催された国連食糧農業機関(FAO)第38回地域会議における、キューバ共産党中央委員会第一書記兼共和国大統領ミゲル・マリオ・ディアス=カネル・ベルムーデス氏の演説。

2024年「革命66周年の年」3月18日にガイアナのジョージタウンで開催された国連食糧農業機関(FAO)第38回地域会議における、キューバ共産党中央委員会第一書記兼共和国大統領ミゲル・マリオ・ディアス=カネル・ベルムーデス氏の演説。

 

議長殿、

親愛なる代表団の皆様及びご来賓の皆様、

国連事務総長による「持続可能な開発目標の達成に関する2023年報告書」では、2030年までに世界中で6億人以上が飢餓状態に置かれると予測されています。

逆説的ですが、このような事態は、すべての住民に食糧を供給するのに十分な食糧を持つ地球上で起こっているのです。

「持続可能な開発のための2030アジェンダ」は、このような事態が起こりうることを認識した上で、飢餓の一掃、食糧安全保障の達成、栄養状態の改善、持続可能な農業の促進を目標に掲げました。

しかし、現実は夢に大きく遅れをとっています。これらの目標を達成するために設定された期限までわずか6年足らずであるにもかかわらず、世界の食糧不安は極端な水準に達しており、これは深刻なまでに不公正で不平等な国際経済秩序の拡大によって構造的に悪化しています。

閣下各位、

私が極めて簡潔に述べたことは、私たちみんなが直面している課題です。といいますのは、可能性と努力を否定すれば、私たち全員がこのような不均衡の影響を受けることになるからです。

食料と栄養の分野における新たな研究、科学技術開発、技術移転、既存技術へのアクセスの促進は、あらゆる形態と次元における飢餓と貧困の一掃、そして、「南」から、また「南」のために、持続的かつ包摂的で公平な経済成長、人間の福祉、持続可能な開発の達成に貢献する可能性を秘めています。

このことは、昨年9月にハバナで開催されたサミットにおいて、「現在の開発課題:科学技術・イノベーションの役割」というテーマの下、G77カ国グループ+中国の高官たちによって認識されました。

世界的な目標を達成し、食糧を得る権利を保障するために、ラテンアメリカ・カリブ海地域では家族農業が重要な部門となっています。

私たちの地域では、小規模農家が農業生産の40%を占め、食糧の供給に大きく貢献しています。

私たちの国々における、国内消費、農業活動の多様化、生物多様性の保全に家族農業が大きく貢献しているにもかかわらず、この部門の20%が食糧不安に直面しています。

ラテンアメリカとカリブ海諸国の小規模農家の脆弱な状況を打開するには、科学技術の進歩や能力開発への適切かつ優先的で有利なアクセスを保障することが重要です。

科学とデジタル・イノベーションは、農畜産物の最適な成長に向けた技術の活用を通じて生産性の向上に貢献するため、家族農業を強化するための新たな選択肢となります。

また、この重要な部門に科学とイノベーションを応用することは、環境への悪影響の削減と持続可能性にも貢献します。これは、気候変動に対する回復力と適応に向けた一歩です。

閣下各位、

第38回FAO地域会議は、人類が前例のない科学技術の可能性に到達し、平等、公平、正義の条件の下で、すべての人に尊厳ある持続可能な生活水準を確保しうる富と幸福を生み出す能力を持つ時期に、開催されています。

「南」の人々の犠牲の上に長年にわたって自分たちを豊かにしてきた人々の利己主義は、私たちにさらなる飢餓と貧困をもたらしました。私たちを何世紀にもわたる植民地・新植民地依存におとしめたこの状況を逆転させなければなりません。

国連工業開発機関(UNIDO)は、先進的なデジタル生産技術の創造と普及が、世界特許の90%を占めるわずか10カ国の経済圏に集中していると報告しています。

あらゆるものに特許を与えようとする風潮は、科学的ブレークスルー(困難)を、開発格差を深める道具に変え、政府の意思を富裕層の利益のために変えてしまうのです。

このことは、史上最大の科学技術の発展のさなかにありながら、世界が極貧の削減の面で30年後退し、2005年以来見られなかったレベルの飢饉を記録した理由を説明するものです。

閣下各位、

一方的な強制措置の適用は、食糧を得る権利を含む人権の享受に壊滅的な影響を及ぼします。

米国政府がキューバに対して科している経済・通商・金融的封鎖は近年、かつてない水準にまで強まっており、2022年3月から2023年2月までの間だけでも、食糧部門に2億7,300万ドル以上の損失をもたらしました。

このデータは、キューバ国民を飢えさせ、絶望させようとするこの政策の犯罪的目的を裏付けるものです。米国務省が一方的に作成した、想像上のテロ支援国家リストにキューバが恣意的かつ不当に含まれていることも、封鎖による被害を倍加させています。

このような大きな障害にもかかわらず、キューバ政府は、2030アジェンダに沿った完全な食糧安全保障のための国家基盤として、「食糧主権と栄養教育のための計画」を実施しています。

この計画には、なかでも、食糧と食糧生産用消費材の輸入への依存を減らし、品質と安全性を確保し、食糧の損失と廃棄を減らすことなどが含まれています。

私たちは、FAO(国連食糧農業機関)、IFAD(国際農業開発基金)、WFP(国際連合世界食糧計画)をはじめとする国連機関が、本計画の実施に貴重な貢献をしていることを高く評価しています。

最後に、キューバ革命の指導者であり、最高司令官であったフィデル・カストロ・ルスが28年前に食糧サミットで警告した予言的な警告を引用して締めくくりたいと思います。

「今日、毎日飢えで死んでいく人々のために鳴り響く鐘は、たとえ、人類自身を救うために十分賢明でなくとも、明日、人類全体のために鳴り響くでしょう。

ありがとうございました。

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