Aug
12
2020
半世紀を超える革命後の足跡を振り返るたびにフィデル・カストロ元議長の「すばらしさ」を再認識させられています。米国のいわゆる「制裁」やソ連解体など、想像を絶する困難な状況のもとで「人間らしい社会の建設」という理念を守り続けることがいかに難しいことか。この点については、米国の干渉に対するフィデルの「圧力に屈することなく正しい立場を守ること、しかし知的かつ現実的に立ち向かうこと、米国の行動がどんなに理不尽で非人道的であってもキューバの基本原則である誠実さや倫理を失うことなく対応していくこと」という言葉が思い出されます(2000年メーデー演説)。今回のコロナ対策でもこの理念が生きており、厳しい経済状況のもとにありながら、人間の命を守ることを第1に据え、政府と専門家と市民が一体となり、「知」の力と助け合いの精神によって感染拡大を抑止しました。昨年にはすべての人々の自由と平等や参加民主主義を掲げた新憲法が制定されています。いうまでもなく「キューバ独立の父」ホセ・マルティの思想の実現を目ざしたものですが、この基本理念に沿ってキューバがこれからどのような社会を建設していくのか。これはフィデルが革命後世代に託していった課題ですが、ポスト・コロナ時代に向けて世界各国で「新しい社会」が求められている今、私たちにとっても重要な課題であると思っています。
後藤政子(神奈川大学)
Categoría:
Solidaridad
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