今もって我々は自由、独立、主権を維持しており、今後もそうあり続ける。

ラウル・カストロ・ルス革命軍最高司令官、キューバ共産党中央委員会第一書記、国家評議会議長、閣僚評議会議長の第8会期人民権力全国議会(国会)第10回通常国会閉会式における演説

諸君、

去る9月8日から10日にかけて我が国はハリケーン・イルマに襲われ、国内12州で程度の違いこそあれ、強風や豪雨、沿岸部の深刻な洪水を記録した。

国民を保護しようと懸命に活動した結果、180万人余りを避難させることができたが、残念ながら10名の人命が失われた。被災家屋の数は17万9000棟余りに上り、各種インフラや医療施設、教育施設、農業、製糖産業、観光施設、通信設備が甚大な被害を受けた。初めて全国規模で電気の供給が中断した。

被害総額をまとめると130億18万5000キューバペソに上る。我が国民はこの災害及び復興作業を前に、組織立って団結し、秩序正しく連帯して立ち向かうことで改めて、その不屈と勝利の精神を示した。

この機会に改めて、世界中から届いた支援と数限りない連帯の表明に対し、キューバ国民を代表して深謝する。これらの支援は各地の国家元首・政府代表や政治団体、連帯運動、キューバの友人たちを通じて寄せられた。

この機会に、総選挙プロセスの第一段階が円滑に実施され、人民権力地方議員が選出されたことを申し述べる。国民の大多数がこの度も選挙権を行使し、第1回投票で89.02%の投票率を達成した。

ハリケーン・イルマの影響で当初予定していた選挙日程を変更せざるを得ず、これにかんがみ本議会は本日、共和国憲法の規定により、地方議員及び国会議員の任期を延長することを決定した。新国会の成立は通例の2月24日ではなく、4月19日となる。この日はプラヤ・ヒロンの戦勝記念日で、フィデルが宣言した社会主義による最初の偉大な勝利の日であった。

2017年の国内総生産(GDP)は前年比1.6%増を記録、好調を維持した。我々にとって満足のいく結果ではないが、財政上の制限や燃料不足に加え、3年続いた深刻な干ばつの影響やハリケーン・イルマの甚大な被害によってさらに状況が悪化した中で達成したものである。

米国政府の対キューバ経済・貿易・金融封鎖の影響も無視できない。封鎖は56年以上にわたり継続しているだけでなく、新政権下で強化されている。

ささやかな経済成長をけん引したのは外国人旅行者数が新記録の470万人に達する観光産業のほか、主に運輸業、通信、農業、建設業などである。

財政が緊迫する中、すべてのキューバ人に無料で提供する社会サービスは保証された。

2018年に関しては2%の成長が見込まれる。我が国の外部ファイナンスからすると厳しいが、我々はキューバ経済の国際的信用度を漸次回復させるという確固とした目標を保持する。債権諸国に対しここに改めて、対外債務再編プロセスで成立した合意事項を遂行する意志を表明する。

サプライヤーに対して、支払い期限を過ぎた通常の貿易決済を漸次履行していくよう努力を続ける。彼らの支援及び、我々が直面している一時的な困難への理解に感謝する。

同時に、未だ初期段階にとどまる外国投資の国内経済への参画を強化しなければならない。この方向性は2017年中に優れた結果を残したが、依然として不十分である。

二重通貨制度の解消は、経済モデル刷新を進める上で決定的なプロセスとなる。その理由は国の経済・社会活動の全分野に影響を及ぼすからである。この件に関しては時間がかかりすぎており、これ以上解決を先延ばしにできないことを私は認めざるを得ない。

2017年我々は、米国とキューバの二国間関係が深刻かつ非理性的に悪化したのを目の当たりにした。封鎖強化が示す関係後退は、断じて我が国のせいではない。攻撃的かつ不遜な発言の復活をはじめ、不当な措置を恣意的に実施することで両国民の絆と家族の絆を揺るがせ、両国民の自由と権利を損なうような原因を作ったのも我々ではない。

両国関係史上初めて、敬意と文明的共存を根幹とする新しいタイプの関係を目指すプロセスが双方の主権に基づく決定を経て開始されたが、米国政府が直近数ヵ月間に表明した決定によりこのプロセスは中断され、それに伴い新たな緊張が発生した。関係進展が逆行する中、米国は世界中から反対され、失敗した政策に回帰せんとする口実の捏造に走っている。

キューバ駐在の外交官やそのほかの外国人訪問客らが健康被害を訴えている事案に関して、キューバ政府は過去及び現在の関与を断固否定する。

キューバ及び米国による調査の結果、健康被害の原因や発生源に関する証拠はこれまで一切見つかっていないと報告されている。

両国間の既に限定的な経済・貿易・金融関係にさらに制限を加えたのは、キューバではない。米国市民のキューバへの渡航制限、キューバ市民の米国への渡航制限をそれぞれ強化したのもキューバではない。大使館運営を停止し、両国間の人の移動や交流、旅行などにマイナス効果をもたらしたのもキューバではない。

我々は可能な限り、平等及び我が国の独立と主権への尊重を基盤として過去数年間に構築された交流と協力の場を維持するよう引き続き努める。同時に米国政府と共通の関心事項における敬意ある対話と協力を引き続き行う。

キューバ革命は世紀をまたいで、米国歴代政権11代からの猛攻をしのいできた。今もって我々は自由、独立、主権を維持しており、今後もそうあり続ける。

米国、カナダ、欧州連合(EU)がベネズエラに対し、一方的に課した強圧的措置及び外国干渉に我々は反対する。これは情勢不安をあおる目的で同国内の平和と対話を脅かし、国民に経済的窮乏をもたらすものである。

周知のとおりアルゼンチン大統領を務めたクリスティーナ・フェルナンデス・デ・キルチネル上院議員、及びルイス・イナシオ・ルーラ・ダ・シルバ元ブラジル大統領は現在、政治的背景から寡頭支配層に訴追されている。同様に、両氏への我々の支持を表明する。

米国政府が一方的にエルサレムをイスラエルの首都と認定したことに対し、我々の深い憂慮と反対を表明する。これは国連諸決議と国際法の重大な違反である。

我々は中東紛争を「2国家解決」に基づき広範、公平、かつ恒久的に解決できるよう、無条件の支援を重ねて表明する。この案はパレスチナに不可侵の自決権の行使を保証し、1967年以前の国境線内で東エルサレムを首都とする独立国家の創設を保証するものである。

最後に、あらん限りの力と信念を込めてここに繰り返す。我が国はこれからも国際関係の全側面においてその原則を堅持し、人民の権利や平和、正義、人類の崇高な大義との連帯を擁護する。

諸君、締めくくりとして私は共産党第6回、第7回大会で述べた、政府要職の任期を2期10年までとする利点についてここで繰り返す。これに沿って、人民権力全国議会が来年4月19日に成立する時点で私の国家・政府指導者としての2期目、つまり最後の任期が終了し、キューバは新しい議長を迎えることになる。

それでは、諸君及び国民の皆に私から革命60周年となる新年の熱烈なお祝いを伝えて、結びの言葉としたい。

清聴に感謝する。

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