アメリカの対キューバ経済封鎖とキューバの主権を考える有志の会声明
3月17日、キューバの東部のサンティアゴ市、バヤモ市、カルデナス市などで、住民が、抗議行動を街頭で起こしました。サンティアゴ市では、100名以上の住民が、当局に現状についての説明や議論、不満に対する回答を求めて集まりました。これは、政府当局も認めているように、本年、経済状況がより困難になった中で、2~3週間前から続いた10数時間に上る長時間の停電、食料の不足、配給食料の遅延によるものでした。
ディアス=カネル大統領は、当日すぐさまXで、「党、国家、政府当局の姿勢は、常に平穏な雰囲気の中で、国民の要求に耳を傾け、対話し、状況を改善するために講じられている数々の措置を説明することである」と、住民の不満と要求をよく聞き、対話して取り組ことを表明しました。また、ベアトリス・サンチェス・ウルティア、共産党サンティアゴ県第一書記は、サンティアゴ市の住民の抗議行動の前で、火力発電、電力供給の状況、食糧配給の改善の施策について説明しました。
一方、同日、在キューバ米国大使館は、Xで「キューバ政府に、抗議者の人権を尊重し、キューバ国民の当然の必要に取り組むように要請する」と投稿しました。さらに、ブライアン・ニコルズ米国務次官補(西半球担当)は、「キューバ政府は、民主主義と法の支配を適用し、キューバ市民の権利を尊重しない限り、国民のニーズを満足させることはできないだろう」とXで主張しました。
キューバ政府が、国民との対話によって、自主的に問題を解決しようとしている時でしたので、同日、ディアス=カネル大統領は、Xで、「日曜日にサンティアゴ・デ・クーバ市のある地区で起きた事件を受けて、この状況が、国内を不安定化させる目的で革命の敵に利用されている」と警告しました。さらに、18日キューバ外務省は、「米国政府と在キューバ大使館による、現在のキューバの内部問題に対する干渉と、誹謗中傷のメッセージを、断固、拒否すること、在キューバ米国大使館とその職員は、外交関係に関するウィーン条約の規範に従って行動する義務がある」ことを正式に伝えました。
なお、ハバナ市など西部の地域では、同様の抗議活動は行われませんでしたし、その後、電力事情の改善も進み、サンティアゴ市などでも、同様の抗議行動は、行われていません。
キューバの現在の経済困難は、新型コロナの影響、その後の世界経済の後退、国際紛争による価格の高騰、通貨政策の誤りなどもありますが、バイデン政権下で、キューバ経済を窒息させようと目論む経済封鎖の強化も大きく響いています。それは、65年前に、レスター・D・マロリイ米州担当国務次官補が、ロイ・ラボッタム国務次官に宛てた、次の書簡で示した政策を引き継ぐものです。
「反乱軍の指導者への支持を減らすただ一つ考えられる方法は、経済的に悪い状況と物質的困難を引き起こし、不満を通じた方法である。キューバの経済状況を弱体化させるためのあらゆる手段を緊急に講じなければならない」。
国際法に違反し、毎年国連総会で圧倒的多数で解除が決議されている、1962年以来の対キューバ経済封鎖と、事実に基づかない恣意的なテロ支援国家リストへのキューバの記載を、米国政府は、直ちに廃棄しなければなりません。
2024年3月28日